障碍者ITカレッジ愛西は、高い就職実績と定着率を誇っています。(就職率80% 累計就職者120人 ※2024年4月現在 詳しくはこちらをご覧ください)
今回は、その背景にある「安心して通い、働き続けられる理由」について、就労支援スタッフの安井がインタビューに答えます。
インタビュー対象者プロフィール
安井 よしえ 氏
NPO法人障害者雇用創造センター 就労支援員
安心して通い、働き続けられる理由

就職実績について
高い就職率を実現してきた安井さんにとって、支援する中で最も重要視していることは何ですか?
実は、私自身は「就職率」という数字だけを目標に支援してきたわけではありません。
それよりも大切にしているのは、就職された方が安心して長く働き続けられることです。
その結果として、就職後に離職される方が非常に少なく、それが数字にもつながっているのだと感じています。
支援において一番意識しているのは、「就職時のミスマッチを防ぐこと」です。
入り口の段階でご本人と企業の相性を丁寧に見極めることで、無理なく、長く働き続けていただけるよう心がけています。
就職がゴールというわけではないですもんね。
企業との橋渡しを丁寧に行う支援の姿勢が、確かな実績を生んでいるのだと感じました。
就職後の定着支援で大切にしていること
定着支援について
長く働き続けるために『大切だと思っていること』を教えてください。
ご本人にとって最も大切なのは、「その職場で、自分自身が納得して働けていること」だと思います。
その納得感を維持するために、私たち支援員が定期的に面談を行い、「今どのような状況か」「困りごとはないか」を継続的に確認しています。
ご本人の気持ちに寄り添い、状況をしっかり把握し続けることが、安定した就労には欠かせないと考えています。

未経験や不安を抱える方への関わり方
安井さんは、「パソコン未経験」や「通い続けられるか不安」を感じている方に対して、どのように声をかけたり、見守ったりしていますか?

まずは見学や体験から始めていただくことを大切にしています。
実際に事業所の雰囲気や内容を肌で感じていただき、少しずつ理解を深めてもらうところからスタートします。
最初からフルタイムで通うのではなく、ご本人のペースに合わせて、通う日数や時間を少しずつ増やしていく。
そうした「スモールステップ」を一段ずつ積み重ねていけるよう、横で寄り添いながら見守るようにしています。
支援員として大切にしている距離感
支援の中で、あえて「教えすぎない」や「見守る」など、安井さんの中で大切にしているマナーや距離感はありますか?
距離感については、画一的なルールを決めるのではなく、「その方に合わせた最適な距離」を見極めることが必要だと考えています。
近すぎてご本人の自律を妨げることがないよう、かといって離れすぎて不安にさせてしまうこともないよう、「付かず離れず」のバランスを常に意識しています。
その方にとって一番心地よく、かつ成長につながる適切な距離を保ちながら見守ることを大切にしています。

その人らしく働ける場所を、一緒に探していくうえで、安井さんが訓練生さんとの会話で意識していることは何ですか。
先ほどのお話にも繋がりますが、まずはその方が思い描いている「理想の働き方」や「将来の理想像」を、しっかりとお聞きすることを大切にしています。
支援員側の考えを押し付けるのではなく、ご本人のイメージに少しでも近づけるにはどうすればいいか。それを常に中心に置いて、一緒に一歩ずつ進めていくよう意識しています。
印象に残っている訓練生さんの成長エピソード
安井さんがこれまで関わってきた中で、訓練生さんが「大きく成長した」と感じた印象的な場面があれば教えてください。

「成長した」という言葉を私からお伝えするのは少しおこがましい気がして、お答えするのが難しいのですが……ある方のエピソードをお話しさせていただきます。
その方は、当事業所を利用されるまで就労経験がなく、初めての就職を目指して通われていました。通所している間、私たちの話をとても熱心に聞いてくださるのですが、私たちが「これが得意ですね、向いていますね」とポジティブなフィードバックをしても、決まって「いいえ、私にはできません」と仰っていました。
なかなかご自身のことを正当に評価できず、自信を持てずにいらっしゃったんですね。
そうなんです。
ですが、その方が無事に就職を決め、現場で働かれるようになってから大きな変化がありました。
今ではご自身のことを否定されることは一切なくなり、職場での自分の役割やポジション、ルールをしっかりと理解した上で、自ら率先して動かれています。何より、現場で生き生きと働いていらっしゃる姿を拝見したとき、「ああ、本当に大きく変わられたな」と強く実感しました。
自分に自信を持ち、自分の居場所を見つけて輝いている。その姿こそが、私にとって最も印象的な「成長」の場面です。
ITカレッジ愛西の求人サポートの特徴
ハローワークに出ている求人と、ITカレッジ愛西で案内している求人にはどのような違いがありますか?
大きな違いは、「表に出ていない選択肢」を私たちが一緒に切り拓いていく点にあります。
もちろんハローワークの求人も活用しますが、ITカレッジ愛西ではスタッフが直接企業へアプローチする「企業開拓」に力を入れています。
- 独自の求人ルート: ハローワークには掲載されていない、支援機関向けの「非公開求人」が届くことがあります。これは、企業側が「支援員が付いている安心感」を求めて、私たちのような事業所に直接声をかけてくださるケースです。
- 「求人がない」場所へのアプローチ: ご本人が「この会社で働きたい」と希望された場合、たとえその時点で障害者雇用の募集が出ていなくても、私たちが直接企業の人事担当者へお電話をすることがあります。「今、障害者雇用を検討されていませんか?」と働きかけ、そこから実際に採用の窓口が開いた実績も少なくありません。
- 「やりたい」から始まる仕事探し: 「自分に何が合っているか分からない」という方には、職種で絞る前に、「どんなことが好きか」「どんな時間なら楽しく過ごせるか」といった対話から始めます。パソコンに触ったことがない方でも、電源の入れ方や入力から一つずつステップアップし、その方の「できるようになったこと」に合わせて、最適な職場を一緒に探していきます。
自分一人でハローワークの求人票から探すよりも、ITカレッジ愛西を通じることで、より幅広い選択肢の中から、ご本人の希望に沿った職場を見つけることが可能です。

高い定着率を支える支援の考え方
高い定着率を実現されていますが、長く働き続けるために大切にしていることは何ですか?
長く働き続けるためには、就職した後のサポートはもちろんですが、実は「通所している段階からの関係づくり」が何より大切だと考えています。
当事業所では、通所している間に訓練生さんと支援員の間で、しっかりと深い信頼関係を築くことを意識しています。
働き始めると、誰しも少なからず悩みや不安に直面するものです。そんな時、「ここに来れば悩みを打ち明けられる」「あの支援員になら相談できる」と思える場所があることが、ご本人にとって大きな心の支えになります。
「定着支援員」という形だけの関係ではなく、「いつでも相談できる信頼できる相手」がここにいる。
通所中から育んできたその安心感があるからこそ、働き出した後も一人で抱え込まずに乗り越えていける。その結果が、今の高い定着率につながっているのだと思います。
就職に迷っている方へのメッセージ
最後に安井さんから、一歩踏み出すのを迷っている方へメッセージをお願いします。
まずは、無理をして「進まなきゃ」と思わなくても大丈夫ですよ、とお伝えしたいです。
迷っている時は、その気持ちに寄り添いながら、一緒に一歩踏み出せるようなお声がけができればと思っています。「まずは見学だけ」「まずは少しお話しするだけ」でも構いません。
ご自身の中で「動いてみたいな」という気持ちが少しずつ湧いてきたときに、私たちは全力で一緒に動いていきたいと思っています。
あなたのペースを大切にしながら、共に歩んでいけるのを楽しみに待っています。

※この記事は2026年2月の取材に基づいています
取材:福本 / 撮影:松浦 / 編集:細野・平賀
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