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不安を自信に変え、自分らしく輝ける職場に出会うまで【スタッフインタビューブログ Vol.6】

障碍者ITカレッジ愛西の就労支援員、安井よしえ。利用者のKさんが「おとなしく静かな印象」から、自分に合った職場を見つけ、自信に満ちた表情へと変化していった軌跡を温かな笑顔で振り返るインタビューシーン。

「自分には働く力があるのだろうか」と不安を抱えて相談に来られたKさん。就労移行支援事業所「障碍者ITカレッジ愛西」を利用し、自分らしい働き方を見つけ、企業でチームを支える存在として活躍できるようになりました。障害者雇用では、本人の努力とともに、特性に寄り添う支援や力を発揮できる環境づくりが重要です。本記事では、同事業所を利用された方のモデル事例について、就労支援スタッフの安井がインタビューに答えます。

【出会い】「おとなしく、静かな印象」から始まった第一歩

利用者の特性を「強み」として再定義する支援のプロ。IT系職種に固執せず、ITスキルを武器にできる「事務職」への方向転換を提案し、長く安心して働き続けるための戦略的なマッチングについて語る安井の様子。
安井

Kさんと「障碍者ITカレッジ愛西」の出会いは、大学卒業を控えた彼女が就職活動に苦戦し、名古屋のあいち若者職業支援センターへ相談に行ったことがきっかけでした。

Kさんが初めてこちらに来られた時、安井さんの目にはどのように映りましたか。

安井

第一印象は、本当に「おとなしく、静かな方」でした。大学時代から懸命に就職活動をされていましたが、なかなか結果に繋がらず、深い不安を抱えていらっしゃいました。お話を伺う中で、その「静かさ」の背景には、コミュニケーションに対する強い拒絶感ではなく、どう振る舞えばいいのか分からないという戸惑いがあるように感じたんです。

支援員の視点から見て、当時の彼女が直面していた一番のハードルは何だったのでしょうか。

安井

ご本人も「面接でうまくいかない」と仰っていましたが、緊張すると声が小さくなり、言葉が詰まってしまう。その状態のままでは、どれだけ熱意があっても、企業側に彼女の本来の良さが伝わらないという課題がありました。

その厚い不安の壁に対し、まずどのようなアプローチをとられたのですか。

安井

まずは「ここなら話せる」という安心感、つまり信頼関係の土台作りからです。就職の話を急ぐのではなく、日々の何気ない会話を積み重ねて、少しずつ彼女の心の声を聴く時間を持ちました。また、私一人で抱えるのではなく、面接準備の段階では理事長の渡邉とも連携し、多角的な視点でチーム支援を行いました。専門家としての忍耐強さとチームの温かな眼差し。その土台が整うにつれ、Kさんの内面には静かな、しかし劇的な変化が起き始めます。

【変化】環境に馴染む中で見えてきた「豊かな表情」

安井

毎日通っていただく中で、表情がどんどん柔らかくなっていくのが手に取るように分かりました。こちらが話しかけると、ふとした瞬間に微笑みがこぼれるようになったんです。

深い不安を乗り越え、自分らしく輝ける職場に出会えた喜びを象徴するイメージ。周囲との関わりの中で「自分はここにいてもいいんだ」という自己肯定感を高め、明るい未来へと視線を向ける利用者の心の成長を表現。

訓練内容以外で、彼女を前向きに変えたきっかけはあったのでしょうか。

安井

土曜日のレクリエーションが大きな転換点でした。当初、私たちは彼女にとって集団活動は負担かもしれないと考えていたのですが、実際は全く逆。積極的に輪の中に入り、皆と一緒に活動することを楽しんでいらしたんです。

ここで重要なのは、彼女が単に「環境に慣れた」だけでなく、周囲との関わりの中で「自分はここにいてもいいんだ」という自己肯定感を高めていったことです。「意外にも輪の中でこそ表情が豊かになる」という発見は、その後の支援方針を「人との繋がりがある環境」へと大きく舵を切る指針となりました。

本人、支援員、企業、そして産業医などが一丸となって支える多角的なチーム支援のイメージ。特例子会社における専門的な配慮や、三者面談を通じた役割調整など、一人ひとりを孤立させない強固な伴走体制を象徴。

安井さんが当初抱いていた「静かで集団活動は苦手かもしれない」というイメージを、彼女自身が良い意味で覆してくれた瞬間だったんですね。

安井

そうなんです。本来持っていた社会性が引き出された瞬間を見て、私たちは「人との関わりがある職場」こそが彼女の輝く場所だと確信しました。個人の成長という「種」が芽吹いたところで、物語は「理想の職場探し」という、戦略的な選択のフェーズへと進みます。

【挑戦】ITから事務職へ。マッチングが生んだ「納得感」

安井

当初はIT系での就職を希望されていましたが、実際の現場は高度なコミュニケーションが常に求められる場所でもあります。選考を重ねる中で、そこが彼女にとって高い壁になっていることが見えてきました。

学んできたスキルがある分、その道に執着してしまいそうですが、どう納得へと導いたのでしょう。

安井

企業様からのフィードバックを共有しながら、じっくりと話し合いました。ITに固執するのではなく、ITスキルを「武器」として使える「事務職」という戦略的な方向転換を提案したんです。これは妥協ではなく、長く働き続けるための前向きな再配置でした。

その後の展開は、驚くほどスムーズだったと伺っています。

安井

ハローワークの面談会で、ある「特例子会社」との出会いがありました。障害者雇用に精通した企業で、彼女の特性を強みとして受け止めてくれる土壌があったんです。実習では「質問相手を一人に明確化する」といった具体的な配慮を依頼しましたが、仕組みが整った企業だったこともあり、非常にスムーズに受け入れていただけました。納得感のあるマッチングを経て、ついに社会へと羽ばたいたKさん。しかし、実社会という現場では、新たな「壁」が彼女を待ち受けていました。

[💡 用語解説] 特例子会社とは?

障害者の雇用促進と安定を目的に、企業が特別な配慮をして設立した子会社のことです。

  • 厚生労働大臣の認定を受けた会社を指します。
  • メリット: 特例子会社で雇用するスタッフは、親会社の雇用人数として合算してカウントすることが認められています。

※認定には、一定の要件を満たす必要があります。

【定着】壁を乗り越え、チームの「信頼」を勝ち取るまで

その課題には、どのような体制で向き合われたのでしょうか。

安井

企業、本人、支援員の三者面談に加え、こちらの提携先でもある産業医の方にも同席いただきました。このように産業医が定着支援の場に深く関与するのは、他ではあまり見られない非常に稀なケースです。医療的な視点からのアドバイスがあったことで、企業側もより専門的な配慮を検討することができました。

課題の正体は、能力不足ではなかったのですね。

安井

ええ。実は「非常に高い精度で完遂しようとする」がゆえの遅さだったんです。これは素晴らしい「強み」です。そこで、スピード重視の業務から、正確さが求められる分野へと役割を調整していただきました。結果、彼女はチームで「なくてはならない存在」として信頼を確立したのです。

この信頼関係の深さを象徴するのが、企業側から依頼された「出前講座」のエピソードです。Kさんの活躍を受け、企業の社長自らが総勢5名のスタッフを率いてITカレッジを訪問。訓練生の皆さんへ、障害者雇用の意義について熱意を持って語ってくださいました。

彼女が職場で築いた信頼が、事業所と企業との強力なパートナーシップへと発展した。支援員として、これほど嬉しいことはありません。今、彼女は自分の役割に誇りを持ち、確かな足取りでキャリアを歩んでいます。

まとめ:自信に満ちた背中を見守り続けて

安井

定着支援の期間が終わった今でも、彼女は事業所の同窓会に顔を出してくれます。今の彼女の表情を見ていると、自分の居場所を見つけた人の強さを感じます。私から「成長した」と言うのはおこがましいですが、彼女の歩んできた道は、私たちの誇りです。

もし今、就職活動に不安を感じ、「自分には無理かもしれない」と立ち止まっている方がいたら、無理をして今の自分を超えようとしなくても大丈夫です。迷っている時は、まずは少しお話しするだけでも構いません。あなたのペースを大切にしながら、一緒に一歩を踏み出せる日を楽しみにしています。

卒業生の成長を「私たちの誇り」と語る安井。今まさに就職活動で立ち止まっている方へ向けて、無理に自分を超えようとせず、まずは対話から始めようと優しくエールを送る、経験豊富な就労支援員の微笑み。

インタビュー対象者プロフィール

就労支援員

安井 よしえ 氏

障碍者ITカレッジ愛西にて、訓練生の就職サポートおよび就職後の定着支援を担当。
訓練生一人ひとりの「理想の働き方」に寄り添い、丁寧な企業マッチングを多数実現。
本人・支援機関・企業の皆さまからの声を取り入れながら就労カリキュラムの改善を重ね、現在の支援体制を構築。
就職が決まった瞬間の笑顔を活力に、スタッフ一丸となって支援にあたる。

※この記事は2026年3月の取材に基づいています

取材:福本 / 撮影:松浦 / 編集:細野・平賀

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